いつも冬の空気が漂う/小川洋子『刺繍する少女』

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小川洋子の本は、いつ読んでも小川洋子だ。
刺繍する少女』を読みあらためて感じた。

「不思議ワールド」という点では、梨木果歩と同じだが、
小川洋子には、梨木香歩にはない独特な冷たさ、ひんやりとした残酷さがある。
(ちなみに梨木果歩は『村田エフェンディ滞土録』と『家守綺譚』が好き)

残酷とは、血生臭いことのみを指すのではない。

彼女の作品には、ひっそりと、自己主張することなく、でも確実にそこに存在する。
静かな残酷さがあるのだ。

作品には、いつも冬の空気が漂う(それ以外の季節を舞台にしたとしても)。

特に印象に残っているのは、「時」を司る器官である「ゼンマイ腺」を抜く話だ。

恋人が寝ている隙に、相手のゼンマイ腺を抜いてしまう。
取り返しのつかないことが起きた恐ろしさと、冷徹さがあり、
本を閉じたあともそのシーンが頭に焼き付いている。

次に印象的だったのは、寄生虫が出てくる話。
人間の狂気が凝縮されたラストシーン。

自分の理解を超える行動をする人に会ったときの不気味さと逃げ場のない息苦しさ。
いつ爆発するかわからない、時限爆弾を抱えた気分にさせられる。

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↑知らぬうちに新潮文庫になっていた。私が読んだときは角川文庫だったはず。

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そうそう私が読んだときはこれだ。出る版元が変わると内容も変わるのだろうか・・・?
解説等は変わるだろうが。

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↑この本の装丁は文庫本より単行本の方が好き。

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