黒人の男「リック」を愛した「ココ」。ボーイフレンド、男の昔の女たち、白人、ゲイ……、人びとが織りなす愛憎の形を、言葉を尽くして描く著者渾身の長篇。女流文学賞受賞。(宮本輝)
山田詠美はやはりとんでもない作家だ。
この1冊の本に人と人が(恋愛関係においてだけではなく)付き合っていく上でのあらゆる哲学が詰まっている。
読んでいて何度ドキッとさせられたことか。
唸らされたことか。
彼女の懐の深さがよく表れている。
この人は暴言を吐きながら、過激な言葉を使いながらも
人を愛する方法を、心で人と付き合う方法を教えてくれる。
人間のダメさをやさしい眼差しで包んでくれる。
10代の頃に読んで、何度も読み直したくなる1冊。
人間ってとても愚かで、愛おしい。
彼女の哲学書と言っても過言ではなく、
女流文学賞の受賞も納得の一冊である。
彼女の小説の魅力は、
突き放した言葉の裏にも愛情があるところ。
ジョジョではないが、まさに人間讃歌の一冊なのである。
人生の折々に読み返したくなる一冊。
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